太田忠司『ルナティック ガーデン』(祥伝社)レビュー

ルナティック ガーデン

ルナティック ガーデン



 主人公の設定の妙が生きている。ディテールのユニークさの勝利か。月に行くところからトラブルに見舞われるが、基本的に連作短編型の長編で、個々のミステリーはよく練られていると思う。サスペンスが月面の住人たちの過去の蹉跌から派生しているのと対照的に、ラストはスペクタクル風に締めくくる。収まりのよい感じが、評価の分かれ目かも。