カレル・ヴァン・ウォルフレン『誰が小沢一郎を殺すのか? 画策者なき陰謀』(角川書店)レビュー

誰が小沢一郎を殺すのか?画策者なき陰謀

誰が小沢一郎を殺すのか?画策者なき陰謀



 シケた政局は、どうやらまだ反小沢ラインでコトが進みそうなカンジで。霞が関ムラの住民たちは、アメリカ様のご加護にますます頼るんですかね。ウォルフレンの最新の日本政治学講義は、アナリストというのは学者でもある、ということを再認識させてくれる。前著『アメリカとともに沈みゆく自由世界』(徳間書店)で考案した「画策者なき陰謀」という概念を、反小沢キャンペーン、「キャラクター・アサッシネーション=人物破壊」の一連の動きを解析するのに適用してみせる。ビスマルクレーニンと並んで、「二〇世紀という時代を構築した最大の政治家のひとり」であるとした山県有朋、彼が創出した官僚国家体制と、平沼騏一郎の差配した検察ファシズム、この呪縛を、小沢一郎が引き受けているというのがウォルフレンの見立てだ。そしてこの「超法規的で非公式な権力システム」=権力が法を支配するという政治体制の温存をはかるため、「政治エリート」たちが、ジャパン・ハンドラーズと結託した、日本のアメリカへの隷属を選んだ、というわけである。さてさて、第二(第三)の敗戦後のニッポンは…………