柄刀一『バミューダ海域の摩天楼』(講談社ノベルス)レビュー

本日のエピグラフ

 彼らは、地を、空を、海を巡り……、そして、遥か昔に成層圏の上にまで達していたのかもしれない。(「熱波の摩天楼」p.280)


ミステリアス
クロバット
サスペンス
アレゴリカル
インプレッション
トータル42


 前半のお話のパズル性、後半のお話のサスペンス、科学的薀蓄を絡めながらのそれは、物語的にやや綱渡りをしているところがあるのが、却ってスリリングに楽しめる。スケールはデカいが、探偵役はこれでよかったのか、という疑問がないでもない。龍之介シリーズと小説的に切り口が似通っている印象が拭い難く、いやあのシリーズでできなかったことをやってるんです、と返されれば何とも言えないけれども。