竹内真『イン・ザ・ルーツ』(双葉社)レビュー

イン・ザ・ルーツ

イン・ザ・ルーツ



 分厚いけれども、作者の持ち味である軽妙なタッチで、三人の兄弟の成長と自らのルーツ探しの道程を描いて、飽かせない。“歴史”を探っていく現在の“場所”をスタティックな無時間性に浸さないで、現在過去もろともライフヒストリーの流れの中に位置づけて、人生の時間性の確かな手触りを感得させる良作。