歌野晶午『密室殺人ゲーム・マニアックス』(講談社ノベルス)レビュー

本日のエピグラフ

 「(…)ゲームにおける真実というのは、現実ではなく、制作者の頭の中に存在するのであり、それを見抜くことがゲームを攻略するということなのだよ、(…)」(p.147)

密室殺人ゲーム・マニアックス (講談社ノベルス)

密室殺人ゲーム・マニアックス (講談社ノベルス)



ミステリアス10
クロバット
サスペンス10
アレゴリカル
インプレッション
トータル47


 番外編? 「密室」内の殺人推理ゲームが、クラウド内部で消費されていく顛末を描く。メディアに媒介させたブラック・コミュニケーションが、逆にメディアの精神性に乗っ取られていく悲喜劇。「正解」は出題者が特権的に保持するが、それは媒介者への依存なくしては、価値的に無意味なものなのである。