幕内秀夫『もっと変な給食』(ブックマン社)レビュー

もっと変な給食

もっと変な給食



 前作より二年、珍妙奇抜な学校給食展覧会が帰ってきた! って、喜んじゃいけませんが、ワタクシにとっては、ネタ本的愉しみが、先行しているわけでございます。個々の珍給食に対するツッコミコメントも、さらに磨きがかかり、笑えてくるやら脱力するやら。著者の主張するように、米飯給食の導入が、油脂類、砂糖だらけの献立を廃することになるのなら、結構なことです。ただ、著者の根本的な主張である、「学校給食食事摂取基準」に基づく栄養素の数字合わせは必要なのか、それが「変な給食」の献立作成の言い訳になっているのにかかわらず、というのをもっと強調しなければ、「摂取基準」の未達成を以て藤沢市教委に逆抗議した著者の意図が曲解される恐れはあるだろう*1。いやしかし、本書にも紹介されている東京都渋谷区立S中学校の給食記録改ざん・捏造事件には、慄然とせざるを得ない。

*1:もともと著者が講演会で、藤沢市の「変な給食」を批判したところ、藤沢市教委教育長名義で抗議の手紙が届き、その文面で「摂取基準に基づいて」献立を立案している旨があったのに対して、著者が市内のある小学校のひと月分の献立の「栄養量」を情報公開請求した。当該一ヶ月において、「摂取基準」を満たした日はなかった。著者の意図は、あくまでも「摂取基準」そのものに対する疑義である。