2012年4月版



 注目されている某スリラーを読んだけれども、イマイチのれなかった。それより『火焔の鎖』のほうが、十二分にサスペンスフル。輻輳するプロットが、すべてサスペンスの醸成に貢献して、空転していない。ビンテージ本格を横目にしつつ『冬の灯台』を挙げるのは、雰囲気に酔ったからかなあ。彼の地における、自然性の現実に係わる深度が興味深かったし、味わい深かった。ブラックウッドの短編集は、不気味さの手触りと、怪異の蹂躙をめぐる筆致のコントラストをひたすら愉しんだ。
 
★★★★★…………面白い!
★★★★…………読み応えあり。
★★★…………一応、満足。


火焔の鎖 (創元推理文庫)

火焔の鎖 (創元推理文庫)

★★★★★


冬の灯台が語るとき (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

冬の灯台が語るとき (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

★★★★


秘書綺譚―ブラックウッド幻想怪奇傑作集 (光文社古典新訳文庫)

秘書綺譚―ブラックウッド幻想怪奇傑作集 (光文社古典新訳文庫)

★★★★