井上夢人『ラバー・ソウル』(講談社)レビュー

ラバー・ソウル

ラバー・ソウル



 前作より2年ぶり。寡作ぶりがニクいのだけれども。作者のメタフィクションの路線は、ギミック的なニュアンスよりも、その構築性を愉しみたくなるもので、この作品もそう。物語をどこに着地させるかが途中で見当がつかなくなるような思わせぶりは、熟練の技巧の賜物。