石持浅海『煽動者』(実業之日本社)レビュー

本日のエピグラフ

 (…)僕たちはテロリストだ。けれど、決して人を殺さないテロリストなのだ。信念で殺人を犯す人間ほど、始末に負えない奴はいない。(…)(p.267)

煽動者

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 二年半前の前作『攪乱者』のキーパーソンが再び出てきて、この不思議なテロ組織の実体をついに明かす。不思議なテロ組織のアリスになっているのは、読者か純朴なテロリストか。冒頭のシュールさ漂うディスカッションから、面妖な石持ワールドは全開、アイロニーに満ちた空間内では、殺人者が唯一真っ当な悪だった感じが。