初野晴『カマラとアマラの丘』(講談社)レビュー

本日のエピグラフ

 動物にも人間と同じように、心や魂があった。/しかし動物に心や魂があると、人間にとって都合が悪くなる。(「星々の審判」p.246)

カマラとアマラの丘

カマラとアマラの丘



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 暴力と救済の図式が主題を構成するのは、過去の諸作でも試みられてきたが、本作ではある到達点にまで達したのではないか。何よりも筆致が、彼岸と此岸の間から世界を凍りつかせているようで、独特の叙情と峻烈さを醸し出している。作者の代表作になるのではないか。