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ポストモダン以後をすでに生きてしまっている我々でも、果たしてプレモダン性を克服できているだろうか、と改めてこの問いを突きつけられる――この小説が、成長小説としてのカタルシスを与えてくれるのならば。近代的統治とは、われ‐われによる権力操縦可能性の問題であり、司法的領域においては、法の適用・執行における正義を問うことでもある。が、これが、前近代的共同体性と社会システム的官僚主義に挟撃されることになる。われ‐われは、統治から疎外される。教育ムラにおける学校の聖域化は、学校の自治を金科玉条に、この統治からの疎外という事態にわれ‐われを馴れさせてしまった。だから、反乱は、統治的プレーヤーの地位の奪回というかたちをとることになるだろう。そして、この“統治”において真実が目指されるということ、これが作者がこの小説で体現させようとしたことで、“事件”を構成する諸事実の再構成を通して、“真実”をどう定位させるか、この過程をじっくりと描き出した。“事件”という出来事が、生長し消滅するまでのドラマは、近代的成熟の在処を我々に突きつける。