2013年1月版



 『喪失』は、読者を引き付けるイベントやガジェットを次々と投入してくる印象があり、エドガー賞受賞も頷けるけれども、小説の吸引力が増すのは後半からかな。『白鳥泥棒』は、大部の作品ながら、翻訳文がこなれていて上質なので、臆せず読み進めてほしい。基調はロマンス系の文芸作品だけれども、ペダントリーと歴史小説の味付けが、きっちりと読者をもてなす。『終わりの感覚』は、サプライズに至る伏線を味わうよりも、この意味性を検めてみたくなる心理小説の逸品。
 

★★★★★…………面白い!
★★★★…………読み応えあり。
★★★…………一応、満足。



喪失〔ハヤカワ・ミステリ1866〕 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

喪失〔ハヤカワ・ミステリ1866〕 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

★★★★


白鳥泥棒 上

白鳥泥棒 上

白鳥泥棒 下

白鳥泥棒 下

★★★★


終わりの感覚 (新潮クレスト・ブックス)

終わりの感覚 (新潮クレスト・ブックス)

★★★★