歌野晶午『コモリと子守り』(光文社)レビュー

本日のエピグラフ

 「もう手遅れかもしれない。けど、まだ間に合うと信じて、希望を捨てず、こっちに引き戻さないと。それができるのは近くにいる人間だけ。近くというのは、物理的な距離ではない」(p.186)

コモリと子守り

コモリと子守り



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 いかにも作者らしいツイストを利かせた多重誘拐劇。結構すごいことやってるのに、小説が上手いもんだから、派手な感じがしないのは、痛し痒しというか。社会的B層の袋小路を容赦なく描いて、何だかメランコリックな気にさせられる。