乾ルカ『たったひとり』(文藝春秋)レビュー

たったひとり

たったひとり



 イヤミス的展開のホラーかと思えば、一筋縄ではいかない。時間の牢獄に閉じ込められた学生たちの、歪んだ内面を彫琢する手付きの冴えはあっても、それだけでは……と思いきや、クライマックスでカタストロフィにむけての大転回が待ち受ける。