近藤史恵『インフルエンス』(文藝春秋)レビュー

インフルエンス

インフルエンス



 作者らしい、というのと、作者でなくても、というのと、その中間の地点でカタルシスを得た気分。関係性の生々しさを剔出する手付きは堂に入ったもの。運命の共同性と互換性の位相を描き出すのが作者の目標だったろうが、それとは別に、関西の地域性に係わる負の部分を描き出したところのその手触りに、なぜかドキッとするものを感じたのだが。