藤田宜永『探偵・竹花 孤独の絆』(文藝春秋)レビュー

探偵・竹花 孤独の絆

探偵・竹花 孤独の絆



短編集。還暦といえども、オールド・ディックと呼ぶにはまだ枯れる境地には達していない、現役のP I が、大東京を駆けていく。小説の舞台を、都会というより東京と具象性をこめて呼びたくなるのは、この国のアクチュアリティを達意の文章でトレースしているからだろう。「晩節壮快」と表題作が個人的によかった。