葉真中顕『ロスト・ケア』(光文社)レビュー

ロスト・ケア

ロスト・ケア



 今年のこのミス大賞の方は、食指が動かないのでパス。日ミス新人賞である本作は、話題先行の感があるけれども、歴代受賞作のなかでもトップランクだと思う。ただ、小説における社会性の導入が、ゼロ年代後半の事件カタログを眺めているような感覚を与えてしまうのは、どうなのか。作者の書きたかったのが、ある種の殉教の物語だとすると、天童荒太っぽくなるのかしらん。