恩田陸『夜の底は柔らかな幻 上・下』(文藝春秋)レビュー

夜の底は柔らかな幻〈上〉

夜の底は柔らかな幻〈上〉

夜の底は柔らかな幻〈下〉

夜の底は柔らかな幻〈下〉



 夢枕獏的世界を作者が脱構築してみたら……というのが、率直な印象。恬淡としながらも妙に瑞々しい作者の文体が、今回は小説世界の映像的訴求に過度に期待しているフシがあって、面白いけれども、やや持ち重りに欠ける、というか。