伊与原新『ルカの方舟』(講談社)レビュー

ルカの方舟

ルカの方舟



 あれ。もしかしたらSFミステリだった? 作者が横溝賞を受賞したときに、乱歩賞候補作に残っていた作品を改稿したもの。アカデミズム内部の軋轢と、科学的興味が無理なく接合しているのは、“理系”の強みで、一方で、作者の今後の展開をほのめかすようなネタがちらほらと見受けられるのは、頼もしい。