相沢沙呼『マツリカ・マハリタ』(角川書店)レビュー

マツリカ・マハリタ (単行本)

マツリカ・マハリタ (単行本)



 シリーズ第二集。主人公のヘタレさ加減に磨きがかかっているのに、日常の謎解きよりも、目がいってしまうのは、何とも。しかし、主人公の(探偵役の身体に対する)フェティッシュな言及の過剰性は、明らかに、主人公の抱く疎外感(から発する恐怖)を、隠蔽する役割を果たしているだろう。この疎外感は、「幽霊」「空気」「透明人間」などのコトバに、露骨に刻印されるが、要するに、“見えない人”である。つまり、探偵役の身体と“見えない人”的ギミックが、小説空間内部で、バランスを取っているわけで、構築的なパフォーマンスは十分に訴求性はあるように思う。