知念実希人『ブラッドライン』(新潮社)レビュー

ブラッドライン

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 福ミス受賞後第一作は、大満足。冒頭のド迫力シーンで読み手をツカんで、後はいささかも予断を許さずに、サスペンスを持続させて、右に左に翻弄させる。社会派っぽい素振りをしておいて、実は……という展開が、物語の緩急の具合と呼応していて、カタルシスを覚える。もっといえば、医療ミステリで、ここまでフィジカルな印象を与えるのは、新鮮だ。