「人生の余白を舞って黒ガラス鶴をまねたる白羽織かな」(「変調二人羽織」より)


「戻り川心中」「恋文」などで知られる直木賞作家の連城三紀彦(れんじょう・みきひこ、本名加藤甚吾〈かとう・じんご〉)さんが19日、胃がんのため名古屋市内の病院で死去した。65歳だった。葬儀は近親者で営んだ。

 愛知県出身。早稲田大在学中から小説を書き始め、1977年、「変調二人羽織」で探偵小説誌「幻影城」の新人賞を受けてデビュー。流麗な文章での心理描写と鮮やかなトリックが両立するミステリーに定評があり、81年「戻り川心中」で日本推理作家協会賞。恋愛小説、時代小説も手がけ、84年「宵待草夜情」で吉川英治文学新人賞、「恋文」で直木賞、96年「隠れ菊」で柴田錬三郎賞を受けた。

 映画好きで知られ、大学在学中にシナリオ勉強のためにフランスに留学。「恋文」など多くの作品がテレビドラマや映画になった。

 直木賞受賞後に得度し、仏門修行のため休筆したこともある。2009年に胃がんが見つかり、闘病していた。08年の「造花の蜜」が最後の単行本となった。

(朝日新聞デジタル 2013年10月22日10時01分配信記事より)

 連城さん、お疲れ様でした。あなたが小説で示された、様々な“逆説”のかたちは、ミステリーという閾にとどまらず、広く文学における、法外な思考の軌跡として、読書家たちの記憶に残っていくことでしょう。
 合掌。