愛川晶『十一月に死んだ悪魔』(文藝春秋)レビュー

十一月に死んだ悪魔

十一月に死んだ悪魔



 本格ミステリー風味のサイコ・スリラーの快(?)作。他社で落語ミステリを出しながら、文春ではこういういかがわしいものを刊行するのは、何だか痛快だ(って、注文があったからでしょうが)。作者の得意とするところのオカルティズムの味付けよりも、フェティシズムの不気味さをギミックの梃子に使った感のある小説づくりが、奏功した。