麻耶雄嵩『貴族探偵対女探偵』(集英社)レビュー

本日のエピグラフ

 「では、私が依頼すればいいわけか。それなら君の名分もたつしな」/(…)/「どういう意味? あなたは探偵なんでしょ。探偵が探偵に依頼するなんて聞いたことがないわ」(「むべ山風を」p.132)

貴族探偵対女探偵 (貴族探偵)

貴族探偵対女探偵 (貴族探偵)



ミステリアス
クロバット10
サスペンス
アレゴリカル10
インプレッション10
トータル47


な、なんて典雅な、この皮肉。知的に洗練されている、というホメ文句すら、嘲笑されているかのようだ。彼女に世界一悲壮/悲愴/皮相な探偵の称号を与えたいくらい。こちら読者も作者にいい様にされましたし(泣笑)。個人的には、鮎哲のありえたかもしれない可能性を、作者が体現しているのでは、という思いが強まってくるけれども。