宮部みゆき『ペテロの葬列』(集英社)レビュー

ペテロの葬列

ペテロの葬列



 作者の時代に対するモラルのありようを探求する姿勢が、ミステリーの構築性と緊密に繋がっており、未だに安心して読める。原罪が遍在する現在において、それを何気なくスリリングに演出する手腕は、いささかも衰えを感じさせない。