- 作者: 三津田信三
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2014/08/08
- メディア: 単行本
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ホラーの定型的プロットは、日常を攪乱する表象をバラ撒いたうえで、さらに物語の結構それ自体を不条理な領域に追いやる、といったものだろうが、作者の場合は、条理と不条理の領域の往還に、小説世界そのものの揺らぎを感得させる。つまりは、そうやって外部性を小説に召喚させるのだ。こういった方向性は、作者自身が試行錯誤しながら、その道を切り開いているようで頼もしいし、小説の可能性を見出してくれているという意味で、優れて生産的だ。量産型ホラーが、コケオドシを費消しているように思えてくるのなら、なおさらそう感じる。