- 作者: 貫井徳郎
- 出版社/メーカー: 双葉社
- 発売日: 2015/01/21
- メディア: 単行本
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クライム・ノベルである。が、そこは作者のこと、犯罪の昏いリアリティを演出しながら、従来の犯罪小説のある種のイメージを裏切るギミックが強烈に炸裂して(たとえば東野圭吾の某作品などの読者であればあるほど)、読み手を茫然とさせるだろう。悲劇に見舞われた徘徊する生が収斂するのは、その主人公があるべき形に完結させようとする意思を、実は裏切る場所でしかないだろう。作者のギミックの意味性は、孤独なるものの断絶性そのものの冷感を伝えることにある。