村井俊治『地震は必ず予測できる! 』 (集英社新書) レビュー

地震は必ず予測できる! (集英社新書)

地震は必ず予測できる! (集英社新書)



 いやあ、ここまで説得的だったとは。最初、著者の開発した地震「予測」の方法を週刊誌で見たとき、半信半疑だったけれども、コンパクトに著者自身がまとめた本書を閲して、著者の「予測」の蓋然性に一定の信頼性があると、シロウトながら判断した。たとえば、地震のメカニズムが分かったとしても、当然それは「予測」の方法論とすぐ繋がるわけではない。著者の「予測」理論が、従来の地震理論と齟齬をきたすと憂う向きもあるようだが、一方で現在の地震の発生「予測」が、純粋に発生件数から導き出された確率であることを省みれば、著者の「予測」が物理的観察に基づいている分、括目すべき研究であることは、間違いないだろう。著者の「予測」が、運輸・流通などの経済面にインパクトを与えるようになれば、行政は無視できなくなるのだろうが。