島田荘司『屋上の道化たち 』(講談社)レビュー

屋上の道化たち

屋上の道化たち



 記念すべきシリーズ50作目は、島田印の奇想本格というより、落語家島田亭の滑稽噺大独演会とでも言い表したい内容。ファース的なアプローチだから『嘘でもいいから』シリーズが引き合いに出されるが、むしろ物語の感触としては、「発狂する重役」に近い。あれも作中で現代の怪談と言及されていた。でももしかしたら、本作も島田流のクリスマスストーリーに位置づけられるかも、ね。