彩坂美月『金木犀と彼女の時間』(東京創元社)レビュー



 ラノベというより古き佳きヤングアダルト小説の質感を湛えたような出来。タイムリープ状況をひとに喋ってすぐに受け入れられてしまう展開には首を捻るが、プロットをいたずらにひねくることをせずに、状況から生じるサスペンスと急転直下のツイストでシンプルにカタルシスをねらう姿勢は悪くない。