石持浅海『崖の上で踊る』(PHP研究所)レビュー

崖の上で踊る

崖の上で踊る



 作者が執拗に描き続けるインナーサークルを、古典的な政治図式である敵/味方のロジックに蹂躙させてみせた怪作。謎解きが消去法的措定にとどまっても、敵/味方のロジックが、これに妙な説得力を与えているのが面白い。破局へ向けてノンストップで進行するホラー感を適度に湛えて、冗談だか本気だかワケのわからん展開をするが、それにしても表紙装幀の意味がわからんぞい(微苦笑)