貫井徳郎『罪と祈り』(実業之日本社)レビュー


罪と祈り

罪と祈り


 ますますゴダードっぽくなってきたような。過去と現在を往還する構成は、割合ストレートに物語は進むものの、時代状況の大いなる蹉跌に翻弄された人間たちの焦燥と悔恨を多層的に浮き彫りにする。やや湿っぽい終幕より、物語自体の重厚感がカタルシスに繋がっている。良作。