2016-01-01から1年間の記事一覧

竹本健治『涙香迷宮』(講談社)レビュー

涙香迷宮作者: 竹本健治出版社/メーカー: 講談社発売日: 2016/03/10メディア: 単行本この商品を含むブログ (11件) を見る まあ相変わらず狷介だよねえこの人は、的な。タケモト的インタレストにワタクシ的知的好奇心は今一つ反応しないけれども、なんという…

伊坂幸太郎『サブマリン』(講談社)レビュー

サブマリン作者: 伊坂幸太郎出版社/メーカー: 講談社発売日: 2016/03/30メディア: 単行本この商品を含むブログ (16件) を見る 文体と作風から寓話的アプローチの印象が強く残ってしまう作者だが、この作品は、ミステリー的結構の前作とは一線を画して、社会…

折原一『死仮面』(文藝春秋)レビュー

死仮面作者: 折原一出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2016/04/16メディア: 単行本この商品を含むブログ (6件) を見る 相変わらず、滑稽で、怖いぞ。作者特有のいかがわしさが、B級ニュースから醸し出される現実のチープさからくるのか、人間の狂いっぷりの…

下村敦史『真実の檻』(KADOKAWA)レビュー

真実の檻作者: 下村敦史出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店発売日: 2016/03/26メディア: 単行本この商品を含むブログ (3件) を見る 司法制度をめぐるサスペンスだが、話が直線的に進まないのは、もともと連作短編として構成されたからだという。物語の緩急…

青崎有吾『ノッキンオン・ロックドドア』(徳間書店)レビュー

ノッキンオン・ロックドドア (文芸書)作者: 青崎有吾出版社/メーカー: 徳間書店発売日: 2016/04/08メディア: 単行本この商品を含むブログ (11件) を見る 作者の作品の中では、一番いいと思う。戦略的ラノベ臭を醸し出す従来の小説と一線を画し、推理コントに…

中山七里『恩讐の鎮魂曲』(講談社)レビュー

恩讐の鎮魂曲作者: 中山七里出版社/メーカー: 講談社発売日: 2016/03/16メディア: 単行本この商品を含むブログ (9件) を見る ほほほ、前作に引き続き、いいぞいいぞ。アンチヒーローが道化に陥る皮肉が、事件の真相解明のフェーズに合わせて、あからさまにな…

藤田宜永『探偵・竹花 女神』(光文社)レビュー

探偵・竹花 女神作者: 藤田宜永出版社/メーカー: 光文社発売日: 2016/02/18メディア: 単行本この商品を含むブログ (1件) を見る 作者に対して思うのは、枯れた境地とは無縁な素振りを目指したいのかも、ということで、本作にしても、もっとタイトに仕上げる…

樋口有介『少女の時間』(東京創元社)レビュー

少女の時間 (創元クライム・クラブ)作者: 樋口有介出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2016/01/09メディア: 単行本この商品を含むブログ (2件) を見る 草平シリーズ最新作だけれども、『カノマホ』の頃と、いささかも語り口がズレてないよねえ。懐かしさを…

大崎梢『誰にも探せない』(幻冬舎)レビュー

誰にも探せない作者: 大崎梢出版社/メーカー: 幻冬舎発売日: 2016/02/25メディア: 単行本この商品を含むブログ (4件) を見る 作者にしては、いささか物騒な空気を漂わせているけれども、社会派的要素を混ぜこんでいるので、大学生という主人公の設定が、埋蔵…

中山七里『ハーメルンの誘拐魔』(KADOKAWA)レビュー

ハーメルンの誘拐魔作者: 中山七里出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店発売日: 2016/01/29メディア: 単行本この商品を含むブログ (7件) を見る 誰が言ったかどんでん返しの帝王、でも本作は割合ストレートにお話が進み、サスペンスフル。社会派的テーマを真…

似鳥鶏『レジまでの推理 本屋さんの名探偵 』(光文社)レビュー

レジまでの推理 本屋さんの名探偵作者: 似鳥鶏出版社/メーカー: 光文社発売日: 2016/01/19メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログ (8件) を見る ん? タイトルに何か含みがあったか………いやでもまあ、専門職コージーとでもいうべき路線って、…

青崎有吾『図書館の殺人』(東京創元社)レビュー

図書館の殺人作者: 青崎有吾出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2016/01/29メディア: 単行本この商品を含むブログ (13件) を見る シリーズ第4弾で長編第3作目の本作は、ロジカルな構築性がシュールなかたちで決まっていて、申し分ない。だから問題は、小…

西澤保彦『帰ってきた腕貫探偵』(実業之日本社)レビュー

帰ってきた腕貫探偵作者: 西澤保彦出版社/メーカー: 実業之日本社発売日: 2016/01/07メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログ (3件) を見る 帰ってきた西澤流論理のアクロバット――とやりたいトコロだけれども、作者はコンスタントに新作を発表…

松村涼哉『ただ、それだけでよかったんです』(KADOKAWA/アスキー・メディアワークス)レビュー

ただ、それだけでよかったんです (電撃文庫)作者: 松村涼哉,竹岡美穂出版社/メーカー: KADOKAWA/アスキー・メディアワークス発売日: 2016/02/10メディア: 文庫この商品を含むブログ (16件) を見る 某電撃大賞を受賞して一部のネット界隈で騒がれた作品だけれ…

滝田務雄『ポンコツ探偵の名推理』(幻冬舎)レビュー

ポンコツ探偵の名推理作者: 滝田務雄出版社/メーカー: 幻冬舎発売日: 2015/11/12メディア: 単行本この商品を含むブログを見る 書下ろしのシリーズ短編集は珍しいのだが、作者は資質的に短編型なのかな。キャラクターの設定が可笑しさを醸し出しているという…

大倉崇裕『ペンギンを愛した容疑者 警視庁総務部動植物管理係 』(講談社)レビュー

ペンギンを愛した容疑者 警視庁総務部動植物管理係作者: 大倉崇裕出版社/メーカー: 講談社発売日: 2015/11/11メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログ (6件) を見る シリーズ第三弾だが、あまりの安定ぶりに、もうすでに何冊も出たもんだと思…

米澤穂信『真実の10メートル手前』(東京創元社)レビュー

真実の10メートル手前作者: 米澤穂信出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2015/12/20メディア: 単行本この商品を含むブログ (33件) を見る 率直にいえば、作者の前作『王とサーカス』が年間ベストテンを制覇したのは、他に話題作がなかったという側面が強い…

石持浅海『罪人よやすらかに眠れ』(KADOKAWA)レビュー

罪人よやすらかに眠れ作者: 石持浅海出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店発売日: 2015/12/02メディア: 単行本この商品を含むブログ (5件) を見る 本作品集にしても、『凪の司祭』にしても、作者ならではのものだが、後者の方は設定がハデな分、作者の濃やか…

織守きょうや『黒野葉月は鳥籠で眠らない 』(講談社)レビュー

黒野葉月は鳥籠で眠らない作者: 織守きょうや出版社/メーカー: 講談社発売日: 2015/03/19メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログ (1件) を見る 友井羊『さえこ照ラス』はユニークな舞台設定とアプローチでひとまず愉しめた作品集だったが、法…

白井智之『東京結合人間』(KADOKAWA)レビュー

東京結合人間作者: 白井智之出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店発売日: 2015/09/30メディア: 単行本この商品を含むブログを見る 昨年の評判作で、かなりグロい設定がウリというバイアスがいつの間にかかけられてしまっているようだが、実際読めば、知的アク…

石持浅海『凪の司祭』(幻冬舎)レビュー

凪の司祭作者: 石持浅海出版社/メーカー: 幻冬舎発売日: 2015/10/22メディア: 単行本この商品を含むブログ (4件) を見る まあリアルなホラーとして読むべきなんでしょうね。都市空間の破滅的なまでの空虚性を、テロリズムの寓話として示したともいえるけれど…

碇卯人『杉下右京の多忙な休日』(朝日新聞出版)レビュー

杉下右京の多忙な休日作者: 碇卯人出版社/メーカー: 朝日新聞出版発売日: 2015/10/07メディア: 単行本この商品を含むブログ (1件) を見る いや、すっかり年に一度のお愉しみになりました。中編二本という体裁は、それぞれがドラマ化しやすいからかな。正攻法…