いしいひさいち『大問題’06』(東京創元社)レビュー

本日のエピグラフ

HがヒトNがニワトリを表し、『ヒト』の数の多いほど毒性が強いのです。/ところが! もっと毒性の強いウイルスが確認されました。――H5N1G1型ウイルス(P177より)

大問題'06 (創元ライブラリ)

大問題'06 (創元ライブラリ)



 んまー、05年にはまさに花形スターだったホリエ、ムラカミ、それにミキタニ、タケナカも付け加えて、大凋落じゃないすっか。なんだか黒幕ミヤウチも徐々に包囲されているみたいで……昨年はツツミ総帥もやられたからねえ…………結局、大銀行がサラ金利権を掌握して、ついでにネット金融も差配するつもりなんでしょうが、まあそんなことはともかく、一寸先は闇ならぬ一年先は有為転変、諸行無常の鐘を鳴らすのはどなたってんで、いしいひさいちの一年に一度のお楽しみが、今年もまた。いしいワールドであいかわらずの存在感を示すナベツネ会長、キム総書記に(コイズミ=ブッシュはまあ別腹として)猛追をかけるのがライス女傑(ヒラリーとのタイマン勝負を期待してます)、思わぬ伏兵として経済アナリストのモリナガ氏がこれから来るんでないかと、ひそかに思っていたりする。――とにかく、ベタとシュールとハイブラウのネタの使い分けを、見事に無差別にやっているところが凄すぎ。要は、作者が次はどういう手で攻めてくるか予測がつかないわけですね。…………さて06年は、ポスト・コイズミ(アベvsフクダ)に、策士オザワが絡む。経済・社会ではどうやらネオリベからの反動とバブル・リバイバルが、どういう椿事を出来させるか。――なんやかんや言っても、人はあんまり亡くなってほしくないものです。