草上仁『文章探偵』(早川書房)レビュー

本日のエピグラフ

 どうやらわたしが述べたいのは、こういうことだ。/本書の主人公の述懐を信じすぎてはいけない。(「あとがき」P381より)

文章探偵 (ハヤカワ・ミステリワールド)

文章探偵 (ハヤカワ・ミステリワールド)


 
ミステリアス9 
クロバット10 
サスペンス9 
アレゴリカル9 
インプレッション10 
トータル47  


 21世紀版『倒錯のロンド』がついに登場! …………って紹介を聞いたひとは、どんなお話を想像するのでしょうか。やっぱりちょっと語弊があるかなあ。――文字の連なりのパターンから“書き手”の痕跡を探るのもまた“書き手”、“書き手”たちはウロボロスの蛇状の連鎖を構成し、自らを呑み込んで虚空の彼方へと消える――後に残るのは、山積したテクストと、かつて“書き手”であった者の残滓のみ。…………作中に登場する数々のペンネームに既知のSF作家のものの“痕跡”があるのにニヤリ。