本日のエピグラフ
「……いかがです、ご自分の姿をフィルムで見た感じは?」(「屋根裏の乱歩者」P267より)
- 作者: 芦辺拓
- 出版社/メーカー: 有楽出版社
- 発売日: 2006/08/30
- メディア: 単行本
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ミステリアス | 8 |
アクロバット | 8 |
サスペンス | 8 |
アレゴリカル | 9 |
インプレッション | 8 |
トータル | 41 |
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これも『異形コレクション』絡みなんですよね。今年は朝松健の『東山殿御庭』もあるし。ナラティヴの可能性を、反ナショナリズムの戦略に用いるのは共感できるのだけれども、ネーションの成立もまたこれなしにはありえなかった。だから芦辺拓は不用意だというのでは全然なく、なんとなれば柄谷行人の言うように「近代文学」は終わったのだから。ネーションの現在に視覚表現・映像メディア(とそれの“ノベライズ”)が中心的役割を果たしているのならば、むしろ「講談」、“語り”=“騙り”のダイナミズムは、これに亀裂を入れる役割を十分に果たすだろう。――「伽羅荘事件」は、鮎哲に捧げるレクイエムだけれども、探偵小説に関しては“作者の死”はあり得ない。なぜなら“騙る”という行為そのものは差異化できないのだから。絶対に。