荻原浩『四度目の氷河期』(新潮社)レビュー

四度目の氷河期

四度目の氷河期



 いや巧い上手いひたすら小説作りの巧みさを堪能。貴種流離譚妄想の滑稽さを、第二次性徴発現後の自意識の置き所のなさと結びつけて、メルヘンへと昇華させた。“成長”するってことは、<ふるさと>へと帰還するってことです。凄まじく荒々しい<自然>へと回帰するってこと。でないと、そいつに弾かれることになる。