島田荘司『最後の一球』(原書房)レビュー

最後の一球

最後の一球


 
ミステリアス7 
クロバット7 
サスペンス7 
アレゴリカル7 
インプレッション7 
トータル35 


 「月刊島田荘司」の掉尾は、こんな感じで。倒叙ものの原型は、やっぱり「告白」にあるんだなあ、と思った次第。で、逆にいえば、「告白」を隠蔽することこそ探偵小説の本義があるということで、そういう意味でも反=近代小説であるけれども、倒叙ものにおいては<探偵>の行動(ということは「告白」)が隠蔽されることになるわけで、御手洗がいったいどういうふうに事件の真相、というより“奇跡”の張本人にたどりついたかのロジックがまんま隠されても、本人が最後に姿を現すだけで“説得力”を持ってしまうのは、手記のリアリティによることもさることながら、やっぱりキャラ力(と書いて、きゃらぢから、と読む)があるということなんだろうな。