岸本佐知子『ねにもつタイプ』(筑摩書房)レビュー

ねにもつタイプ

ねにもつタイプ



 
 ノンフィクション? でも、ご本人がそのように“せかい”を捉えていらっしゃるんだから。“せかい”はすこしでも鬱くしく、もとい美しくなければ。…………伊集院光がずっとまえに、ある地方のラジオ局で、おもしろいトークを続けるコツは、と訊かれて、たとえばフツーの格好にシルクハットにステッキもって街中へ出歩いてみろネタが転がってくるぞ、みたいなことを答えていたことがあるような記憶があるけれども、この伝でいけばキシモトさんは“ネタ”のシャーマンですね。んでも、小学館のシンボルマークを無感動に見ていた頃にはもう戻れぬな。