松井今朝子『吉原手引草』(幻冬舎)レビュー

吉原手引草

吉原手引草



 
読書中、なぜか「♪みなとのヨーコ……」という例の歌が鳴り響きっ放しでした。――近世のアジールとして吉原の、“文化産業”的側面が達意の文章で詳らかにされていく。“幻の女”は、“物語”をのこして彼方へ過ぎ去っていく。作者には、はやく100%のミステリーを書いて欲しいな。