筒井康隆『巨船ベラス・レトラス』(文藝春秋)レビュー

巨船ベラス・レトラス

巨船ベラス・レトラス



 
狂セリ“日本文学”の末路は如何? 待てば海路の日和がありやなしや、それでも巨船=虚船は航行し続ける。にしても、“日本文学”史の現在過去未来が<文学>になるのだったら、<文学>って、そういうイミでも自己準拠性のやっぱり産物だったりする、となると、<文学>におけるオートポイエーシスの能力が、“日本文学”は衰退しているってことになり、でもそれって、果たして<教養>に還元できるのかしらん――という意味でも、作者の傍若無人の狼藉っぷりは、やっぱり余人を以て変えがたい。