- 作者: 上遠野浩平
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2007/03/30
- メディア: 単行本
- 購入: 3人 クリック: 47回
- この商品を含むブログ (83件) を見る
“不気味な泡”のかわりに、元「ヒーロー殿」が、幻の金貨をめぐる争奪戦の渦中に巻き込まれる。誰もが「世界」の(未遂の)支配者であるなら、“システム”は「世界」よりも、より複雑な相貌を帯びて、ハンドリングの不能性が迫り出してくるものになるのだろう。作者が、「セカイ系」と一線を画すのは、“システム”の不可視性からくる不安を、不可視性を維持したまま、それをある種の官僚機構として顕現させた点で、それはやはり時代の逼塞した空気と合っていたのではあるが、ブギーポップが出現してもうすぐ十周年、“システム”の眼前で諸「世界」をいかように氾濫=叛乱させるのか、興味深いところ。