第60回日本推理作家協会賞に番狂わせあり?

候補作倍率
桜庭一樹 『赤朽葉家の伝説×2 
辻村深月 『ぼくのメジャースプーン』 ×5 
樋口有介 『ピース』 ×10 
森谷明子 『七姫幻想』×3 
柳広司  『トーキョー・プリズン 』 ×4 


 「長編および連作短編集部門」だけ。『赤朽葉家の伝説』はド本命として、問題は『七姫幻想』と『トーキョー・プリズン 』ですね。ミステリ的に手の込んだ作品を、「小説として破綻している」「小説として稚拙である」とクサすのは同業者の性だから、反動で『ピース』がサシてくるかも。これが挙がったのは、樋口に対する功労賞以外ではないでしょう。 建倉圭介『デッドライン』が挙がってもよかったのに。あと『厭魅の如き憑くもの』は、ホントに可哀そうだ。「短編部門」は石持浅海が取るでしょう。「評論その他の部門」は、小鷹信光が受賞しなければ、端的に“事件”でしょうね。巽昌章滝本誠とミステリ読者にはおなじみの名前が並ぶけれども、巽のほうがやや有利かな。『レッドパージ・ハリウッド』は、いかにもな野崎六助のプッシュかなと思いきや、予選委員に名前がありませんでした。わは。*1
*2

*1:5/14追記。というわけで、『赤朽葉家の伝説』に栄冠。巽は本ミスとダブル受賞。にしても、畏れ多くて小鷹の本のレビューがなかなか書けないなあ。

*2:6/22追記。『オール讀物』七月号で、選評を読みましたが…………いやはや、ヒドイもんですねえ。あるイミ、オデの予想したとおりのこと書いてるワケで。というか、まず「(推理)小説」の価値観がわからない、ことに開き直っているようなバカを選考委員にするべきではないし、そもそも、「推理小説」として評価するより「小説」として評価することを優先したのでは、本末転倒でしょうが。推協賞を直木賞サブカルチャーにしたいんだったら、何の文句もありゃしませんが。