藤木稟 『バチカン奇跡調査官』(角川書店)レビュー

本日のエピグラフ

 痛い腹のさぐり合いは止めましょう。どちらにしても私達や貴方達は、世の法律とはまったく違った価値観をもつ治外法権の住人なのですから。(P317より)

バチカン奇跡調査官

バチカン奇跡調査官


 
ミステリアス8 
クロバット8 
サスペンス9 
アレゴリカル8 
インプレッション8 
トータル41  


 相変わらずの筆の捌きっぷり。生臭い話を、奇想系本格のセオリーに従いながら、果ては超現実的な光景へと読者をいざなう。柄刀一のアーサー・クレメンスものと決定的に違うのは、聖と俗の対立ではなく、善と悪の対立がクローズ・アップされているところか。