- 作者: 古処誠二
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2008/01
- メディア: 単行本
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本作が濃密な雰囲気を醸し出しているとしたら、それは、自問自答の切実さが文体に昇華しているからだ。これは、“意味”が状況によって剥奪されるのに抗っている、ということでもある。しかし、意味が生み出されるのもまた“状況”の渦中でである。その果てで、いったい何を悟るのか。人間には、“状況”を鳥瞰できることは叶わず、ただ、未来において、この“状況”がどのように価値づけられていくかに思いをはせるしかない。