三津田信三『山魔の如き嗤うもの』(原書房)レビュー

本日のエピグラフ

 「あのー、最初にお断りしておきたいのですが――。僕は、自分が辿った思考過程通りに喋るという癖がありまして……。よって回り諄いところが――」(P360より)

山魔の如き嗤うもの (ミステリー・リーグ)

山魔の如き嗤うもの (ミステリー・リーグ)


 
ミステリアス10
クロバット10
サスペンス
アレゴリカル
インプレッション
トータル47


 現在の本格シーンを代表する存在になった感のあるこのシリーズ、読者の期待値ウナギ上り状態だと思いますが、それに応えてくれるのにまず拍手。メタフィクション的要素は後景に退いているものの、息詰まる逆転劇の書きっぷりといったら。共同体からの“見えない人”をどう料理するか、が作者の原意識だと思う。クイーンの某名作を彷彿させるシチュエーションにニヤリ。