北森鴻『なぜ絵版師に頼まなかったのか』(光文社)レビュー

なぜ絵版師に頼まなかったのか

なぜ絵版師に頼まなかったのか


 
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 作者の新境地……ではなかった、時代的には原点回帰? 小説にしても、ミステリとしての筋にしても、まことに手練れたもの。でも個人的には、なんというか、歴史ミステリと時代ミステリのあわいをいっているように感じられた。表題作は近代初期のカルチャーギャップを衝いていて面白い。「九枚目は多すぎる」のギミックは、泡坂妻夫っぽくて、ツボ。