有栖川有栖『有栖川有栖の鉄道ミステリー旅』(山と渓谷社)レビュー



 「乗りテツ」を自認する著者の紀行エッセー集+鉄ミスガイド付。著者の青春時代の回想記にもなっていて、興味深い。鮎哲とともに、宮脇俊三の存在が、ある程度の重きをなしているのは、むべなるかな。有栖川も『殺意の風景』みたいなの書けばいいのに。「特急料金を払わない方が、旅はリッチなのだ」というのは、まさに、「乗りテツ」の本懐なんだろうな。