2008ベストテン始末記



 いやー。某巨大匿名掲示板のガセネタにはふりまわされましたねえ。へえ、今年はこんなかあ、と思いきや、いざ現物を手に取ってみると、まるで違うやんけ(笑)。まあ、そんなことも含めて、年に一度のお祭り騒ぎです。下馬評どおりの作品が上位を占めるなか、柳広司がようやくベストテン入りしました。『完全恋愛』も上位に食い込んだのですが、だったら、過去に他の作品もさあ…………

本格ミステリベスト10 2009

本格ミステリベスト10 2009



 ベスト20中、『カラスの親指』『しらみつぶしの時計』は評点をつけていないので、それ以外のものの平均は、43.1、結果に満足。んでも、山口雅也の二冊がベスト20にも引っかからなかった、てのは、ちょっとショックです。巻末の島崎博の話は、どーしても水村美苗のあの本を想起せずにはいられませんです。
 
このミステリーがすごい! 2009年版

このミステリーがすごい! 2009年版



 いつのまにか、国内編と海外編の投票者の数が逆転していることに唸ってしまうのですが。でも、今年は、翻訳もののほうが、話題作に事欠かなかったような。さあこれから何冊読めるかしらん。にしても、いかにもコストダウンな本づくりで、却ってゴタゴタしていなくていいんだけれども、あのー、このミス大賞って、世界ちょー不況のあおりを受けないかどうか、とってもシンパイです(ま、ほかの賞にもいえることですけれども)。   

ミステリが読みたい!〈2009年版〉

ミステリが読みたい!〈2009年版〉



 早川さんのを買うのは、書影つき総目録があるからで、それ以外にないわけですよ。一生懸命販促やっているのが、却って痛々しい。あと、座談会で「論理」云々という話題があるんですが、英米系の「論理」と大陸系の「論理」って、そりゃ別モノでしょうに、基本的には。それと、千街晶之逢坂剛の「暴論」を批判していて、正当なことだと思うのだけれども、剛爺による当該「暴論」の全文を見れば、「剛爺が言いたいのは、最初から狭い範囲の読者を想定して書くのではなく、いわゆる読書人ならばだれでも興味を引かれるような、そういう小説を書く姿勢を見せてほしい、ということである。その結果、狭い範囲の読者にしか受けなかったということならば、それはそれであきらめもつく。まあ、剛爺の小説などはその最たるもの、といっても過言ではないのだが」というくだりに、韜晦というのとはまた別のニュアンスが滲んでいると思うのは、アタシだけ? 関口苑生の「ハードボイルドの黄昏」と題された回顧コラムと、微妙に響きあうと思われるのです。*1

*1:週刊文春のも含め、今年のベストテン企画には、千街氏の文章をよく見かけましたが、そのいちいちに、共感を覚えます。昨年と今年のクリティカで彼のやっているパフォーマンスには疑問を覚えますが。