本日のエピグラフ
「一九七〇年代以降の伝奇小説は、天皇を最大の適役に祭りあげることで物語的な力を得てきた。(…)だから天皇の病状が気になるんだ」(P233より)
- 作者: 笠井潔
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2008/07/25
- メディア: 単行本
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ミステリアス | 8 |
アクロバット | 10 |
サスペンス | 8 |
アレゴリカル | 9 |
インプレッション | 10 |
トータル | 45 |
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80年代後半の「<戯れ>という制度」の王国と化した日本での、作者の鬱屈がストレートにでているところが面白い。件の論争後の本格的な“本格”ものということで、否が応でも注目されるが、重責は果たしたというべきだろう。しかし、矢吹駆的「本質直観」を、作者は特権的玉座からの遠近法のごとく(自己)言及しているようだ。それでは、これからのカケルは、瀕死の王のように見立てられるのか。90年代の二大事件、大震災と宗教テロにどうアプローチするかとともに、次作が楽しみ。